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セロ弾きのゴーシュ
ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。

ゴーシュはひるからのむしゃくしゃを一ぺんにどなりつけました。

みんなは今の所の少し前の所からやり直しました。ゴーシュは顔をまっ赤にして額に汗あせを出しながらやっといま云いわれたところを通りました。ほっと安心しながら、つづけて弾いていますと楽長がまた手をぱっと拍うちました。 「セロっ。糸が合わない。困るなあ。ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだがなあ。」

みんなは気の毒そうにしてわざとじぶんの譜をのぞき込こんだりじぶんの楽器をはじいて見たりしています。ゴーシュはあわてて糸を直しました。これはじつはゴーシュも悪いのですがセロもずいぶん悪いのでした。「今の前の小節から。はいっ。」

みんなはまたはじめました。ゴーシュも口をまげて一生けん命です。そしてこんどはかなり進みました。いいあんばいだと思っていると楽長がおどすような形をしてまたぱたっと手を拍ちました。またかとゴーシュはどきっとしましたがありがたいことにはこんどは別の人でした。ゴーシュはそこでさっきじぶんのときみんながしたようにわざとじぶんの譜へ眼を近づけて何か考えるふりをしていました。

ゴーシュはぼんやりしてしばらくゆうべのこわれたガラスからはいってくる風を吸っていましたが、町へ出て行くまで睡って元気をとり戻もどそうと急いでねどこへもぐり込こみました。次の晩もゴーシュは夜通しセロを弾いて明方近く思わずつかれて楽譜をもったままうとうとしていますとまた誰たれか扉とをこつこつと叩くものがあります。それもまるで聞えるか聞えないかの位でしたが毎晩のことなのでゴーシュはすぐ聞きつけて「おはいり。」と云いました。すると戸のすきまからはいって来たのは一ぴきの野ねずみでした。そして大へんちいさなこどもをつれてちょろちょろとゴーシュの前へ歩いてきました。そのまた野ねずみのこどもときたらまるでけしごむのくらいしかないのでゴーシュはおもわずわらいました。すると野ねずみは何をわらわれたろうというようにきょろきょろしながらゴーシュの前に来て、青い栗くりの実を一つぶ前においてちゃんとおじぎをして云いました。

トランペット

トランペットは一生けん命歌っています。

ゴーシュも口をりんと結んで眼めを皿さらのようにして楽譜がくふを見つめながらもう一心に弾いています。
にわかにぱたっと楽長が両手を鳴らしました。みんなぴたりと曲をやめてしんとしました。楽長がどなりました。

ヴァイオリン

ヴァイオリンも二いろ風のように鳴っています。

ゴーシュも口をりんと結んで眼めを皿さらのようにして楽譜がくふを見つめながらもう一心に弾いています。
にわかにぱたっと楽長が両手を鳴らしました。みんなぴたりと曲をやめてしんとしました。楽長がどなりました。

クラリネット

クラリネットもボーボーとそれに手伝っています。

ゴーシュも口をりんと結んで眼めを皿さらのようにして楽譜がくふを見つめながらもう一心に弾いています。
にわかにぱたっと楽長が両手を鳴らしました。みんなぴたりと曲をやめてしんとしました。楽長がどなりました。

セロがおくれた。トォテテ テテテイ、ここからやり直し

みんなは今の所の少し前の所からやり直しました。ゴーシュは顔をまっ赤にして額に汗あせを出しながらやっといま云いわれたところを通りました。ほっと安心しながら、つづけて弾いていますと楽長がまた手をぱっと拍うちました。 「セロっ。糸が合わない。困るなあ。ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだがなあ。」

みんなは気の毒そうにしてわざとじぶんの譜をのぞき込こんだりじぶんの楽器をはじいて見たりしています。ゴーシュはあわてて糸を直しました。これはじつはゴーシュも悪いのですがセロもずいぶん悪いのでした。「今の前の小節から。はいっ。」

みんなはまたはじめました。ゴーシュも口をまげて一生けん命です。そしてこんどはかなり進みました。いいあんばいだと思っていると楽長がおどすような形をしてまたぱたっと手を拍ちました。またかとゴーシュはどきっとしましたがありがたいことにはこんどは別の人でした。ゴーシュはそこでさっきじぶんのときみんながしたようにわざとじぶんの譜へ眼を近づけて何か考えるふりをしていました。

リストスタイル&リンク済みテキスト

small要素+見出し要素

h1セロ弾きのゴーシュ3.6rem

h2ゴーシュはひるからのむしゃくしゃを一ぺんにどなりつけました。3.0rem

h3トランペット2.4rem

h4ゴーシュは思いました。1.8rem

段落要素とleadクラスの組み合わせ

みんなは今の所の少し前の所からやり直しました。ゴーシュは顔をまっ赤にして額に汗あせを出しながらやっといま云いわれたところを通りました。ほっと安心しながら、つづけて弾いていますと楽長がまた手をぱっと拍うちました。 「セロっ。糸が合わない。困るなあ。ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだがなあ。」

みんなは気の毒そうにしてわざとじぶんの譜をのぞき込こんだりじぶんの楽器をはじいて見たりしています。ゴーシュはあわてて糸を直しました。これはじつはゴーシュも悪いのですがセロもずいぶん悪いのでした。「今の前の小節から。はいっ。」

みんなはまたはじめました。ゴーシュも口をまげて一生けん命です。そしてこんどはかなり進みました。いいあんばいだと思っていると楽長がおどすような形をしてまたぱたっと手を拍ちました。またかとゴーシュはどきっとしましたがありがたいことにはこんどは別の人でした。ゴーシュはそこでさっきじぶんのときみんながしたようにわざとじぶんの譜へ眼を近づけて何か考えるふりをしていました。

引用ブロック

引用文。みんなはまたはじめました。ゴーシュも口をまげて一生けん命です。そしてこんどはかなり進みました。

宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」より引用。

リスト要素 とラベル要素

マーカーと左マージンがある場合

  • あんな曲だけれどもここではみんなかなり本気になって聞いてたぞNew
  • 一週間か十日の間にずいぶん仕上げたなあ
  • 十日前とくらべたらまるで赤ん坊と兵隊だ
  • やろうと思えばいつでもやれたんじゃないか、君

class="list-unstyledを追加して、マーカーと左マージンを消す場合

  • あんな曲だけれどもここではみんなかなり本気になって聞いてたぞNew
  • 一週間か十日の間にずいぶん仕上げたなあ
  • 十日前とくらべたらまるで赤ん坊と兵隊だ
  • やろうと思えばいつでもやれたんじゃないか、君