ターゲット・ファン設定(Audience / Persona)
万人に愛されようとすると、誰にも愛されない。
ブランディングにおける発信で、一見良さそうに見えて実は、非効率だとされる行動に「誰にでも響くメッセージ」を作ろうとすることというのがあります。万人に愛されようとすると、結果的に誰にも深く響かない、曖昧で薄いメッセージになってしまうからです。
ブランディングの企画の際は、必ず【ターゲット・ファン】を徹底して考察すること。「誰に最も価値を届けたいのか」「誰の人生に影響を与えたいのか」という理想の顧客(ペルソナ)を定めることです。
なぜ「絞り込み」が必要なのか?
ブランディングにおけるターゲットの絞り込みは、幅を狭めようとしている訳ではなく、メッセージの精度と深さを高めようとして企画されます。
- 深い共感を生む為: ターゲットの悩みや課題が具体的であるほど、それに応えるあなたのメッセージは深く突き刺さります。
- 発信内容の一貫性の為: ターゲットが求める情報が明確になるため、発信内容に迷いがなくなり、ブランドの一貫性が保たれます。
- 効率的な資源投入の為: 時間や労力といった限られた資源を、最も価値を感じてくれる人々(=ファン予備軍)に集中投下できます。
抽象的な聴衆ではなく、この人のためにと情熱を傾けられる相手を設定することは、働く側のモチベーション維持にも有効です。
ペルソナ設計:たった一人の「理想のファン」を創る
ペルソナとは、あなたのサービスやメッセージを最も必要とし、最も熱心なファンになってくれるであろう架空の人物像です。単なる属性リストではなく、あたかも実在する人間のように深く掘り下げます。
- 基本的な属性: 年齢、性別、職業、居住地、収入、学歴
- 心理的な要素:
- 悩み・課題(Pain): 今、何に最も困っているか、何にストレスを感じているか
- 願望・目標(Gain): 最終的にどうなりたいか、何を達成したいか
- 情報収集源: どのSNS、雑誌、WEBサイトを見ているか
- 価値観: お金や時間、仕事に対してどのような考えを持っているか
このペルソナが、あなたのブランドのメッセージの受け手、発信の方向性、提供価値の形を全て決定づけます。
ターゲットへの「語りかけ方」を考える
ペルソナが明確になると、発信の「トーン&マナー」が変わります。
例えば、ペルソナが「多忙な管理職」であれば、メッセージは簡潔で効率的、データに基づいた論理的なトーンになるでしょう。一方、「趣味を楽しむ若い女性」であれば、共感を呼び、親しみやすい、視覚的に魅力的なトーンが適切です。
ターゲットが馴染みやすい語りかけを行うことで、エンゲージメントも高まります。
ターゲット・ファン設定は、パーソナルブランディングの活動を抽象論から具体的な戦略へと変えるための設計図です。
ターゲット・ファン設定を深める20の質問
まず「対象となる人物像」を明確にする質問
・あなたのサービスを、最も喜んでくれそうな人はどんな人ですか?
・その人の年齢・性別・職業・ライフスタイルを具体的に描くと?
・その人が抱えている「日常の悩み」は何ですか?
・その悩みの中でも、特に“放置すると困るもの”はどれですか?
・その人は普段どこに行き、誰と関わり、何を見ていますか?
・どんな媒体(SNS・YouTube・本)から情報を得ていますか?
・その人の口癖・よく言いがちなフレーズはありますか?
・その人が「本当はこうなりたい」と隠している願望は何ですか?
・その願望を叶えるうえで、どんな不安や葛藤を抱えていますか?
・あなたに相談する前、その人はどんな行動をとっていますか?
(例:「とりあえず検索する」「友達に愚痴る」など)
次に「ブランドのファンになる理由」を見つける質問
・その人があなたを見つけた瞬間、どんな気持ちになりますか?
・あなたのどんな投稿・文章・言葉に共感しやすいですか?
・「この人なら信頼できる」と感じるポイントは何ですか?
・あなたの経験のどの部分が、その人の心を動かしますか?
・その人があなたを好きになる“決め手”は何ですか?
・逆に、その人が離れてしまう理由は何だと思いますか?
・その人は、あなたのブランドをどのように周囲に紹介しますか?
・あなたに出会ったことで、その人はどんな未来を手に入れますか?
《 言葉の定義について 》パーソナルブランディングとセルフブランディングの違い
英語圏に於いて、個人としてのブランドを確立するという意味で、広く浸透しているのは「パーソナルブランディング」の方だと思います。
最初に使ったのは、米国の経営コンサルタント、トム・ピーターズ氏であるとされていますが、古参の日本人デザイナーにとって馴染みがあるのは、ピーター・モントヤ氏の著書「パーソナルブランディング」ではないでしょうか。
その後日本では、佐々木 俊尚氏の著作「ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術」が発行され、セルフブランディングという言葉が一気に広がりました。
日本では、どちらかといえば「セルフブランディング」の方が検索されているようです。組織に所属していれば、パーソナルブランディングで、所属していなければセルフブランディングであるという説が登場したりもしていますが・・・
セルフブランディングという単語は、和製英語に近しい存在ですし、両単語に明確な区別は無いと思います。
ここでは、「パーソナルブランディング」の方を主として使っていきますが、セルフブランディングもほぼ同義語であるものとして扱ってゆこうと思います。
1997年 トム・ピーターズ氏発表の論文「The Brand Called You」
https://tompeters.com/brand-you-25th-anniversary/
2005年 ピーター・モントヤ氏の著書「パーソナルブランディング」
https://amzn.to/48Y6xot
2010年 佐々木 俊尚氏の著作「ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術」
https://amzn.to/44iSLu9
