【3】提供価値(Value Proposition)
前回までに、パーソナルブランディングの活動を進める上で、「自分は何者か?」という自己理解と、「どこへ向かうか?」という目的・ビジョンが大事だよというお話をして参りました。
これらの内面的な要素を、市場のニーズと結びつけるものが、【提供価値(Value Proposition)】です。
ブランドの勝敗を決めるバリュープロポジション
これは、競合他社や他の専門家が提供できない、あなただからこそ提供できる具体的なメリットや解決策を指します。つまりは、あなたがクライアントから選ばれる「決定的な理由」の事です。
あなたのブランドが市場で選ばれるか否かは、「この人に頼む決定的な理由は何だろう?」という問いに明確に答えられるかどうかにかかっているという場面は少なくありません。
STEP1. 提供価値は「顧客の視点」から生まれる
提供価値を設定する際、自分ができることの羅列で終わってしまわない事。(多くの人が陥りがち)
提供価値とは、「顧客の抱える最も大きな痛みや、心から望む最も大きな利益を、あなたがどのように解決・実現できるか」という、徹底的な顧客視点から生まれなければなりません。
- ✕ 悪い例(自己視点): 「私はSNSマーケティングとコピーライティングができます。」
- 〇 良い例(顧客視点): 「SNSで集客できていない個人事業主に対し、3ヶ月で成約率200%向上を約束するセールスコピーを提供します。」
あなたのスキルや経験を、ターゲットが求める具体的な「結果」に変換することが鍵となります。
STEP2. 提供価値の3つの輪:独自性が生まれる場所
強力な提供価値は、以下の3つの要素が重なる場所で見つかります。
- 顧客が望んでいること
- あなたが提供できること
- 競合が提供していないこと
この3つの輪の真ん中、つまり「顧客が望んでいるが、競合は提供しておらず、自分だけが提供できる領域」こそが、独自の提供価値(Unique Value Proposition / UVP)となります。
STEP3. 言葉の力:「簡潔さ」と「具体性」
提供価値を、誰にでも瞬時に伝わるように、簡潔で具体的な言葉で表現してみましょう。
- 誰に向けて: ターゲットを明確にする(例:忙しい子育て世代の女性)
- 何を解決する: 提供する具体的なメリット(例:スキマ時間で英語学習を習慣化)
- どう違うか: 競合との差別化要因(例:挫折させない独自のコーチングメソッド)
ここで、せっかくですからWEBサイトや広告で使うキャッチフレーズを考えてみましょう。
価値を提供し、価値を対価として受け取る
パーソナルブランディングは、自分をより良く見せたり、盛った写真を撮影したりする事ではありません。(それを否定するつもりもありませんが)自分が提供できるものをキチンと伝えられるようにすること。できればよ高い単価であっても喜ばれるように、求めている人達へ届けられる準備をする事。その対価として信頼や報酬を受け取る活動です。
提供価値(Value Proposition)を深堀りする20の質問
A. 自分の強みを「価値」に変換する
・ご自身の得意なことは、他の人のどんな悩みを解決できそうですか?
・ご自身のスキル・経験を使って「人の役に立てた」と感じた瞬間はいつですか?
・ご自身の強みが最も発揮された成功体験は何ですか?
・そのとき、相手(顧客・仲間・上司など)はどんな変化を得ましたか?
・どんな事で貢献できたら、自分の気持ちが満足しますか?
B. 相手視点での価値を探る
・ご自身が提供するものを活用して、どんな「理想の状態」になれますか?
・その価値は便利?安心?自信?共感?・・どんな感情に近いですか?
・「感謝された事」を思い出してください、どんな言葉が印象的でしたか?
・ご自身のサービスや作品が、他の人より深く届く理由は何だと思いますか?
・サービスや活動を時給に換算してみてください
C. 独自性・差別化ポイントを見つける
・同業者の中で「自分らしさ」はどんな点に際立ちますか?
・他人が真似できない、独自の考え方や視点は何ですか?
・「あなたにお願いしたい」と依頼されました。どんな理由ででしたか?
・ご自身が選ばれた過去の経験には、どんな共通点がありますか?
・自分の活動に意外な組み合わせを加えるとしたら、それは何ですか?
D. 提供価値を構造化する(整理と明文化)
・ご自身が提供する価値を商品や体験に落とし込むと、どんな形になりますか?
・提供価値が、社会や誰かの未来にどう貢献すると感じますか?
・〇〇な人に、△△を通して、□□という変化を提供する時、◯◯とは?
・△△とは?
・□□とは?
20問すべてに答えるのが大変な時は、気になる10問だけを選んでもOKです。
まずは、自分に問いかけてみて、「なぜそう思う?」と深掘りしてみてください。
最後に「共通して出てきたキーワード」をピックアップし、総合的に見て「自分はこういう価値観を大事にしているんだ」とまとめてみてください。
《 言葉の定義について 》パーソナルブランディングとセルフブランディングの違い
英語圏に於いて、個人としてのブランドを確立するという意味で、広く浸透しているのは「パーソナルブランディング」の方だと思います。
最初に使ったのは、米国の経営コンサルタント、トム・ピーターズ氏であるとされていますが、古参の日本人デザイナーにとって馴染みがあるのは、ピーター・モントヤ氏の著書「パーソナルブランディング」ではないでしょうか。
その後日本では、佐々木 俊尚氏の著作「ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術」が発行され、セルフブランディングという言葉が一気に広がりました。
日本では、どちらかといえば「セルフブランディング」の方が検索されているようです。組織に所属していれば、パーソナルブランディングで、所属していなければセルフブランディングであるという説が登場したりもしていますが・・・
セルフブランディングという単語は、和製英語に近しい存在ですし、両単語に明確な区別は無いと思います。
ここでは、「パーソナルブランディング」の方を主として使っていきますが、セルフブランディングもほぼ同義語であるものとして扱ってゆこうと思います。
1997年 トム・ピーターズ氏発表の論文「The Brand Called You」
https://tompeters.com/brand-you-25th-anniversary/
2005年 ピーター・モントヤ氏の著書「パーソナルブランディング」
https://amzn.to/48Y6xot
2010年 佐々木 俊尚氏の著作「ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術」
https://amzn.to/44iSLu9
